明日の夢1

 やはりかえでは辛そうだ。朝起きるとしがみつくように私の体に抱き付いている。痛みか小刻みに震えている。
「タクシーで送ろうか?」
 今日は今年最後の病院の検診と薬を貰いに行く日だ。入院しない代わりにこれだけ約束させた。
「いいよ。少ししたら落ち着くから」
「出てくる時間に待っているよ」
 そう言って私は銀行に出た。静江も今日はかえでが病院に行く日だと知っている。それで手際よく両替の準備をしている。玄関のシャッターが上がって父が入ってくる。
「何を持ってきた?」
 小声で静江に聞く。
「昨日も来られていて代表者の変更よ」
 かえでから私に代表者を変更している。血の気が引いていく。やはり準備しているのだ。
 10時にかえでが病院に入るので朝の両替を終えて原付で10時半に病院に到着する。受付に入るとかえでの姿はまだない。もしかえでがいなくなったら生きていけるのだろうか。だから静江をくっつけたのだが。時計が11時を回る。
 イライラしているとともこの顔が覗く。
「どうしたんだ?」
「お父さんがかえでの病院に付いて行ってくれって」
 父はまるでかえでが娘のようだ。いや恋人かもしれない。その後からかえでが少し顔色がよくなって現れる。
「来たの?」
「心配だよ」
「姉さんが来てくれた。造血剤を打ってもらったの」
 私がついかえでの手を握るのに、
「早くかえで離れをしないと」






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思い出作り12

「私は賛成よ」
 かえでに姉が飛田で働く話をした。
 それで夜におかんの店に私が連れて行くことになった。私は父にもう少しその後話を聞いていた。姉は日系ホテルの従業員をしていて夜は小遣い稼ぎで抱かれていたようだ。だが父はだけどもと言うか飛田で働かせたくないようだ。だが口には出さない。
 8時にマンションに迎えに行くと一人でいたのかともこが出てくる。
「父の世話にはなりたくない。だから働く。もしひろし君がいいなら抱かれてもいいよ」
「いや、今日はかえでの話を聞いてほしい」  
 どうもぎこちない。
 おかんの店に入るともうかえでが指定席で騒いでいる。私はともこを挟むように座る。だがかえでは座るなりひそひそ話を始める。ともこが笑っている。どうも仲間はずれにされている。一人でビールを1本空ける。かえでが何やらスマホを見せている。最近買ったようだ。
「嫌だ!」
 ともこの声に画面を見る。かえでがすみれのおっぱいを吸っている。
「全部話しちまったよ」
「ともこもすみれとしたいだって」
「それは不味いだろ?」
「何でもありなんだよ。でも姉さんは飛田では働かないことにしたわ」
「私お父さんのあの店を手伝うよ。今度すみれの時に会いたいわ。静江さんの話も聞いているから」







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思い出作り11

 あの日からすみれの踊りが有名になった。出版社からは2作目の依頼が入った。それで今書いている作品を提出することにした。これはかえでに再開した日からの物語だ。かえでは元気な時はせっせと私の小説の挿絵を倉庫に貯めこんでいる。
「私が死んでもいいように一杯貯めておくよ」
 これが口癖になっている。
 父が今日直接飛田の店に出てくると連絡が入った。年を超えるのではないかと心配していた。さすがに今の店をそれ程休んでは迷惑になる。中休みの3時に飛田の店に入る。
「父は?」
「今集金に回っています」
 女将から言われて出されたコーヒーを飲む。半時間すると平さんと父が帰ってくる。
「どうでしたか?」
「ああ、昔のところに住んでいた」
「奥さんと娘は?」
「元気だったが…」
 歯切れが悪い。炊事場からすみれに似た女性が顔を出す。
「ともこだ」
「姉さんになる?」
「2つ上だよ。困ったことに再婚してともこだけが一人暮らしをしていた。新しい父とうまくいかないのだそうだ。この飛田で働くと言っている」
「しばらくそれは待ってください」




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思い出作り10

 ジャンバーを着て原付に跨る。今日は3時に早退を届けているので食事抜きで回る。静江も今日は私とは別に休暇届を出している。銀行を出ると慌ててマンションに戻る。部屋にはもう化粧を済ませたかえでと静江が鏡の前で待っている。私はかえでに素っ裸にさせられると静江が下着を着せる。かえでは私の化粧に専念している。
 それから呼んでいたタクシーに乗る。ミナミのホテルまで20分ほどだ。入口には女装のファンが溢れている。これは出版社が宣伝も兼ねて新人を集めてパーティをする。かえではここではベテランだが私は新人だ。共著になっているから二人で挨拶をする。すみれには女装のファンが多い。これは私の処女作でかえでのお気に入りで挿絵を彼女が描いた。
 これは病院でかえでと暮らした日々を描いたものだ。あの頃描いていた画帳はすべて母の退院の日に処分された。あくまでも頭の中に残っていたものを小説にした。題名も『橙の電車』とした。
「初めて入れた時のこと覚えている?」
「覚えている。ひんやりしていた」
「私は暑い棒を入れられたみたいだったよ」
 静江がシャンパンを注いでくれる。私はひと口飲んで舞台の上で華麗な踊りを見せる。このために部屋の中でかえでから厳しい指導を受けてきた。かえでの挿絵にある踊りだ。客席から女装のファンが飛び出して来て踊る。かえでも静江も踊っている。
「私より人気があるみたい」
 かえでが胸をつんと突く。
「私女装男に見られた」
 静江がすみれの腕を抱えて言う。
「ねえ、今日はラブホテルに泊まらない?行きたいと思っている店があるの」
 私はかえでともっともっと思い出を作りたい。





 

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思い出作り9

 3人の飲み会以後妙に静江に気を使わなくなった。今まで以上に両替の手伝いをしてくれて、あれからもう3度もおかんの店に集合している。父は予定の半月過ぎても中国から戻ってきていない。母はあれから何も言ってこない。何とかお好み屋を続けているのだろう。
 今日は残業なのでおかんの店にはいかないとかえでに伝えている。9時半に銀行を出る。最近は融資の仕事はこちらに回される。その代り両替の仕事は各担当者の地域に分けられた。この時間ならまだパソコンをやっているだろうとドアを開けるともう布団に潜っている。
「寝たのか?」
と言いながらスーツを脱いで下着になる。最近は仕事中でもお気に入りの下着をつけている。いつものことで冷蔵庫から缶ビールを出してきてチーズを皿に入れる。
「こっち見て?」
 布団が捲りあがって全裸の女が抱き合っている。抱きかかえられている女を見て吃驚した。静江だ。
「私がしっかり抱いてあげたよ」
と言って小さな乳首を吸う。
「ほらすみれのちんちんが立ってきたよ。すみれは化粧しなくても肌がきれいなの。私はダメ」
「布団に入ってもいい?」
「私の言うことを聞くのよ。今日は私が彼女を抱く約束したから。まず静江の唇を吸う」
 言われた通りにかえでの代わりに彼女に重なって唇を吸う。燃えるように熱い体だ。それからかえでの手が静江の両足を拡げる。二人でオナニーをしていたのだろうか濡れている。かえではつるつるだが静江は柔らかい毛が生えている。
「ゆっくり入れのよ」
 ここも冷たい感触のかえでと違って熱い。
「どう静江気持ちがいい?」
「うん」
「そんなに擦ったらダメ。静江早く口で出してあげて」
 彼女の口の中も熱い。我慢できずに射精する。それを静江が呑み込んだ。



 





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プロフィール

yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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