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新生活9

 母から何度も着信があった。父に携帯すると毎晩取り立てが来るようだ。それで父は店の2階に泊めてもらっている。そこまでしても離婚は考えないようだ。
 30億の融資は審査部長から役員会に上がった。それで常務と私が説明に出かけた。本店の帰りに母のいるマンションに寄る。3時過ぎだが若い男が2人インターホーンを鳴らしドアを叩いている。定期的に来ているのだろうか15分ほどすると下りていく。それからしばらくしてドアの隙間が空く。
「お母さん、話をしよう」
 部屋に中に入ると即席めんでテーブルが溢れている。私の記憶では病院を出てからも母の手作りの料理を食べた記憶がない。だが妹を連れて私に内緒で外で食べてきていた。
「なぜ返せないのに借りた?」
「妹をなぜ助けてあげないの」
「妹とは縁が切れていると思っている。だがこれを最後にするなら立て替えてもいい。もちろん返す必要はない。後は父と話してほしい」
 それだけ伝えると請求書の張り紙をポケットにねじ込む。その足でかえでのマンションを覗く。そっと鍵を開けるとパソコンを打つ音がする。
「大丈夫か?」
「どうしたの?」
「母に会ってきた」
「お金貸してあげて」
「悪いな。だがこれを最後にする」
「気にすることないよ。あのDVD凄いよ」
と会社からの報告書を見せる。現在でもう1千万の支払いが発生している。
「もう一つ撮っておこうかな。静江とひろし君のために」
 私はかえでにキスをすると銀行に戻る。






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テーマ : ファンタジー小説 -- ジャンル : 小説・文学

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yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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