明日の夢1

 やはりかえでは辛そうだ。朝起きるとしがみつくように私の体に抱き付いている。痛みか小刻みに震えている。
「タクシーで送ろうか?」
 今日は今年最後の病院の検診と薬を貰いに行く日だ。入院しない代わりにこれだけ約束させた。
「いいよ。少ししたら落ち着くから」
「出てくる時間に待っているよ」
 そう言って私は銀行に出た。静江も今日はかえでが病院に行く日だと知っている。それで手際よく両替の準備をしている。玄関のシャッターが上がって父が入ってくる。
「何を持ってきた?」
 小声で静江に聞く。
「昨日も来られていて代表者の変更よ」
 かえでから私に代表者を変更している。血の気が引いていく。やはり準備しているのだ。
 10時にかえでが病院に入るので朝の両替を終えて原付で10時半に病院に到着する。受付に入るとかえでの姿はまだない。もしかえでがいなくなったら生きていけるのだろうか。だから静江をくっつけたのだが。時計が11時を回る。
 イライラしているとともこの顔が覗く。
「どうしたんだ?」
「お父さんがかえでの病院に付いて行ってくれって」
 父はまるでかえでが娘のようだ。いや恋人かもしれない。その後からかえでが少し顔色がよくなって現れる。
「来たの?」
「心配だよ」
「姉さんが来てくれた。造血剤を打ってもらったの」
 私がついかえでの手を握るのに、
「早くかえで離れをしないと」






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yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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