思い出作り11

 あの日からすみれの踊りが有名になった。出版社からは2作目の依頼が入った。それで今書いている作品を提出することにした。これはかえでに再開した日からの物語だ。かえでは元気な時はせっせと私の小説の挿絵を倉庫に貯めこんでいる。
「私が死んでもいいように一杯貯めておくよ」
 これが口癖になっている。
 父が今日直接飛田の店に出てくると連絡が入った。年を超えるのではないかと心配していた。さすがに今の店をそれ程休んでは迷惑になる。中休みの3時に飛田の店に入る。
「父は?」
「今集金に回っています」
 女将から言われて出されたコーヒーを飲む。半時間すると平さんと父が帰ってくる。
「どうでしたか?」
「ああ、昔のところに住んでいた」
「奥さんと娘は?」
「元気だったが…」
 歯切れが悪い。炊事場からすみれに似た女性が顔を出す。
「ともこだ」
「姉さんになる?」
「2つ上だよ。困ったことに再婚してともこだけが一人暮らしをしていた。新しい父とうまくいかないのだそうだ。この飛田で働くと言っている」
「しばらくそれは待ってください」




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yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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