思い出作り6

 かえでが散歩できるようになった。それで父はここ1週間弁当を作って持ってこなくなった。
「お父さん、11月に中国に行くと言ってたわ。複雑じゃない?」
「いや、なんだかほっとした」
 これは本当の気持ちだ。父と母を見ていて何となく父が可哀想に思っていたのだ。そういう私もかえでに会っていなかったら同じだったろう。
 今日は8時におかんの店に1月半ぶりに覗く。それもすみれとして行くように約束させられた。それで7時半に戻ってきて久しぶりの化粧をする。
「少し顔が白くなったな?」
「すみれは黒くなったわ」
 そう言い合いながらおかんの店に入る。
「どうしたの?ひろし君も来ないし、かえでも」
「二人とも仕事が忙しくなったの」
 私が説明する。
「わあ。どて懐かしい!」
「ビールは控えめでねかえで?」
「すみれが私の分も飲んで?」
 常連が二人を見詰めている。おかんはその目を監視している。とくに不良の親父が一番危ない。
「雑誌社から返事が来たけど読んでみる?」
とコピーした紙を渡す。すみれの小説1号が本になるようだ。挿絵はかえでとなっている。
「おめでとう!でも私が先輩よ」
と言ってキッスをする。さすがに店の中は大騒ぎだ。









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yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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