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すみれ1

 携帯に頻繁にかえでのメールが入ってくる。だが今の給料では月に1度が精一杯だ。
「先輩何かいいことあった?」
 昼を同期の静江と取ることが多くなった。夜の誘いと日曜日の誘いを断るためだ。
「いや、昔の友達と会ったのさ」
 静江は嫌いではない。妹のような存在だ。今は女性としてはかえでしか見えていない。
『今度の日曜日動物園に行かない?その後ホテルに行こうよ』
 今かえでは起きたのだろう。昨夜は1時にお休みのメールが来た。最後の客が出て行ったのだろう。
『店に行かないと?』
『そんなお金使っちゃダメ!女装で来てね。すみれの帽子お揃いで買ったよ。10時入口でね』
 メールの最後にかえでのTバック姿の写真がついている。
「友達?」
 静江が覗き込むのを慌てて隠す。
「女の子?」
「いや、大学の同窓生の男だよ」
 昼を済ませると私から銀行に戻る。机の上に静江が並べてくれている両替の袋を5袋詰め込む。
「おい、焼肉屋に行ったら融資書類を貰って来い」
 後ろから貸し付け主任が声をかける。この支店では営業は融資をしない。5人の営業と集金係が年配の人が1人いる。この集金係とは滅多に話をしない。もう50歳を超えているのか原付で遠いところを回っている。
「おいこの前飛田を走ってたな?」
 それだけ言うと万年平さんが私の自転車を追い抜いていく。





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テーマ : ファンタジー小説 -- ジャンル : 小説・文学

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yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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