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別れの時1

 交換絵物語も3冊目に入った。かえでは最近恐ろしいほど綺麗になった。体の中から輝くものがある。
「私はもう医師から告げられた寿命は過ぎている。蝉みたいに最後まで鳴いて死んでいくの」
と言うかえでは嫌いだ。
 今日は母が秋物を持って病院に来た。私は母の顔を見ると慌てて鞄から交換絵物語を抜き出してベットの下に隠す。恥ずかしいものを見られるような気持ちだ。母が写真を出して、
「妹が絵画展の大賞を取ってローマに送られた作品よ」
と自慢げに見せる。地中のさつまいもを大胆なタッチで描いている。もう兄など忘れたようだ。一度もだ訪ねてきたことがない。
「兄ちゃんはいつまでたっても橙の電車ばかりね」
 かえでが入口に先ほどから立っている。
「それと6年までに学校に戻れなかったら中学に上がれないと言われた」
 それを念を押して帰っていった。
「綺麗なお母さんね?」
「そうかな」
「でも妹を可愛がっているみたいね?でもひろし君勉強しないと中学に上がれないよ」
「かえでは?」
「小学に一度も行かなかったのにもう卒業よ。留年になるみたい。でも私は今だけが大切なの。それで母にノートパソコンをねだっているの」
「どれでどうするの?」
「パソコンで絵を描くの。ひろし君も貸してあげるから小説を書いたら」







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テーマ : ファンタジー小説 -- ジャンル : 小説・文学

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yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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