新生活1

 2月1日辞令が出て本店の人事部に集まった。集めたのは新支店長になる常務だ。その他に融資専担者の営業が7人、代理が2人がいるが私はその一番下だ。内勤は副支店長が次長を入れて6人配置された。営業は個人成績にすべて30以内に入っているものばかりだ。とくに代理の一人が5期通算1位の常務の片腕た。
 半月は人事部で研修と言うことだ。私の地域は一番の若手で原付で走るアメリカ村周辺から難波と言う辺境地だ。それぞれファイルを貰って6時まで情報収集だ。6時には営業だけを連れて地域の日本橋のクラブに連れて行く。どうも常務の常連のクラブのようでママが常務の横に座っている。私は一番端で同年代のホステスが座る。
「案外慣れているのね?」
「いや、いつも姉妹にいじられているから」
「でも何だか女の匂いがするわ?」
「おい、モテてるなあ」
 正面に座っていたあの代理が声を掛けて来た。
「俺は営業ではもう10年や。同期の大卒では一人すでに支店長が出た。もしこの支店で成功すれば常務は支店長を約束してくれている」
 確かに代理は心斎橋周辺を地域に持っている。
「お前も支店長に?」
「いえ、まだ銀行員を続けるかどうかも?」
 その夜メールが入ってきていて9時にはおかんの店に寄った。
「どうだった?」
「競争社会は合わないな。将来は今のブログを守って生きればな」
「でも一度新しい社会に入って」
 まるでかえでは母親のようだ。
「今日は静江が泊まれると言っているので私は飲んで寝るよ」






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明日の夢11

 夕方メールが来てかえでからおかんの店に集合を掛けられた。夜銀行に帰ると静江が嬉しそうに先に行っていると伝えた。今日は朝ずいぶん調子が良いのか朝からパソコンを開いていた。私は7時に集金を終えて静江を送り出して急いで集計をする。
 おかんの店に8時に飛び込む。すでにかえでと静江がくすくす笑ってビールを飲んでいる。
「ひろし君、静江ともう4回もしてるのね?」
「いや、3回だと思うが?」
「いえ4回です。私すべて日記を書いているのです」
「静江ちゃんブログアップしたら?」
 9時を15分すぎるとともこが店の衣装にコートを着て現れた。
「わー!刺激的!」
「これかえでさんの衣装を譲ってもらったの」
 かえでの衣装は見たことがあるが30着は下らない。
「ついでにみんな集まっているので意見を聞きたい」
「それ何?」
「全員関係者だからなあ。前少し話があった時は断っていたのだけど、今の店から新店舗にどうかと常務に言われているんだ」
「へえ!寂しいわ」
 静江が小さな声で言う。
「静江は最後までひろし君と付き合うんだからそんなこと言っちゃだめ」
 私はひと通り常務の話をした。
「凄いと思う」
 かえでが賛成してともこがと静江が賛成をした。







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明日の夢10

 正月が終わって母が父のマンションに戻ってきた。父の話では100万を渡したその日から母は家から追い出され旅館に泊まっていたようだ。それでも妹の悪口は言わない。父もまた母にそのことを尋ねない。死ぬまでそう言う関係を続けるのだろうか。
 かえでは体調は良くないが次々と私の小説の挿絵を描き続けている。私はかえでの作品を整理している。かえではすでに単独で5作品を発行している。それに連名の作品は3作品になっている。その他購読料を取っている作品が5作品に増えた。
「会社の口座にいくら入っているの?」
「5千万を超えたくらいかな。思ったよりあのDVDが売り上げが上がっている」
「姉さんとお父さんに幾らか回そうよ?」
「ああ、考えている」
 銀行に出ると昼から本店に支店長と表彰に行く。支店長は在任期間が来ている。今まででは本店の調査役と言うことだったが、今回で課長の道が出てきたようだ。私も新人で個人表彰に初めて入った。業務部長である常務から手渡しで表彰を受ける。その後自室に呼ばれる。秘書がコーヒーを運んでくる。
「これはまだ内密の話だが銀行は今後合併が続く。当行も指導を受けていて逃れることはできない。それで今年は最後の勝負に出る」
「勝負?」
 私には関係ある話とは思えない。
「この春に日本橋支店を作る。その支店長に私がなる。本来本店営業部長だが既存の店舗では融資量の拡大は難しい。それで新店で勝負したい。渉外はすべて融資専担者を置く。君はどうだ?以降銀行に残るとして出るとしても面白いぞ。もちろんまだ考える時間がある」














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明日の夢8

 母は父の100万とありったけの父の財布から5万を持って新潟に出かけて行った。夫婦とは厄介なものだと思う。銀行の年末の仕事を終えると恒例の打ち上げがある。今夜は内勤の女性も残っている。静江が自然に私の横に座る。
「今年はよい年だった」
と支店長が長い話をする。12月は初めてグループ表彰で1位となった。私も大きな融資を3件こなし個人総合で全店で29位だ。だが打ち上げを済ませると我勝ちに帰っていく。そう言うのが銀行と言う職場だ。私が出てくると静江が付いてくる。
「マンションまで一緒させてください」
「帰りはタクシーに乗るんだよ」
 すでに何度もかえでのいる時に静江を抱いている。だから静江は昼のグリルも強要しない。マンションまではあまりにも短い道のりだ。
「お帰り!静江が下まで一緒だったのね?」
 どうも窓から見ていたようだ。ともこも帰っていて鍋の用意をしている。
「店で買った刺身を分けてもらった」
「まずビールで乾杯ね?私の最後の大みそかになったわ」
 除夜の鐘を聞いてまだ酒を飲んでいる。
「もう寝ないと疲れるよ」
と言うのにかえでは蒲団を敷いてともこを裸にする。どうも話が出来上がっていたようだ。それから私の服も脱がせる。
「これは静江には内緒だよ」
 私のものがともこの潤んだところに入っていく。血を分けた姉弟だと言うのがこんな気持ちなのか。
「ピルを飲んでいるからね。これが最後よ」
「私がかえでに頼んだ」
 ともこが耳元で言う。



 



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明日の夢7

 平さんから集金の依頼があり3時に原付で駆けつけた。女将が私を2階に上げた。
「今日は頼母子の日じゃないですね?」
「ああ、そうだ。尋ねたいことがあってな?」
 最近の平さんの目は銀行時代と違って鋭い目になっている。
「お父さんが今度頼母子を落としたいと言ってきたんだが?」
「まだ積立して浅いから利子が高くなるのじゃあ?」
「100万だが今のお父さんでは重たい返済になるよ。何かあった?」
「いえ、母が帰ってきたのです。どうせその金は焦げ付くのです。妹の出産で送るのですよ」
「ともこさんは貸してあげてくださいと。保証人になると」
「ともこが?」
 彼女は母に遠慮している。
「ともこさんの話は聞いている?」
「ええ、桔梗で働くと」
「弟としてはどうなんだ?」
「複雑ですが姉さんが選択したのなら仕方がないと」
「今も桔梗に行ってかえでさんも入れて話し合っているよ」
 1階に降りるとかえでとともこがコーヒーを飲んでいる。
「あれ、集金?」
「そうだ。かえでは歩き回って大丈夫か?」
「私も一人くらいこなして帰ろうかと」
と笑う。
 父が自転車を止めて鞄を肩から下げて入ってきた。







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明日の夢6

 あの日の映像と写真が完成して送られてきた。かえではすでにブログですみれと撮影をしたと報告している。そのさわりの部分を今朝アップした。そこでモニュメントを発売すると宣言した。
「発禁になるのじゃ?」
「もちろん映像は修正をするわ。恥かしい?」
「いや」
「すでに彼らに同時に作ってもらっているのよ。私が死んでも生き続けるよ。今日は遅くなる?」
「夜に父を交えて母と話をする」
 これは困った顔で父が伝えてきたのだ。妹に子供ができたので金を作れと言うことだ。
「会社から金を出してもいいのよ」
「いや、妹に出すならどぶに捨てる」
 8時に銀行を出てマンションに行く。部屋の模様替えをしたのか依然の雰囲気がなくなっている。母の横に座っている父は別人のようだ。こういう結婚もあるのだ。
「いくら出す?」
 頭から出す話だ。
「ひろしも生活は厳しいのだよ。ここもひろしのマンションなんだ」
「だったらどこに住んでいるの?」
「友達のところに居候している」
「店は倒産するし子供ができるし大変なのよ。兄として応援する気はないの?」
 もう我慢の限界に来ている。急に立ち上がると、
「妹の応援はしない」
と部屋を飛び出した。
 戻るとかえでがビールを用意していて黙って勧めてくれる。







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明日の夢5

 私はかえでのアップされていない未公開作品を根気よくブログに載せている。かえでの4作目が発刊された。これは病院を退院して飛田の桔梗に出始めた日からの物語の漫画だ。この作品はかえでが元の作品に手を入れて書き変えた。最後にかえでが自殺することになるのだが、すみれとの再会に書き変えられた。
 今日は久しぶりにともこも入れておかんの店で飲むことになった。ともこが来てかえではしっかりと食べるようになった。それで少し元気になったように思う。
「こちらは?」
とおかんが久ぶりに顔を出したかえでに聞く。
「ひろし君の双子のお姉さん」
「あのすみれさん?そう言えば似ているわね」
「かえでは好き放題だからな」
 私は笑って二人にビールを注ぐ。
「私ね、桔梗に来年から出ようかと思っているのどう思う?」
「住まいのことなら心配しないでね?」
 かえではすでに相談を受けているらしくそれ以上は言わない。今は3人が川の字に寝ている。気を使っているのか夜は12時を過ぎて戻ってくることもある。
「もちろん言えた立場じゃないけどな」
「それより応援しないとね?」
「応援?」
「姉さんを抱くの怖い?」
「怖くない」
「なら部屋を出て行く日までに私が段取りする」












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明日の夢4

 あの日からかえでが寝込んだ。朝には必ずともこが食事の用意に来てくれる。疲れが出たようだ。だが私もかえでも覚悟の上だ。だが今日はともこが大きなトランクを持って現れた。
「姉さんどうした?」
「お母さんが来られたのです」
「中国から?」
「いえ、お父さんのお母さんが。どうも女を連れ込んだように思われて」
「困った人だ」
「しばらく姉さんを泊めてあげて?」
 かえでに言われて奇妙な3人暮らしが始まった。銀行に出て昼には父が働いている店に顔を出す。
「どうしたのですか?」
 姉と炊事場にいる父に声をかけた。
「お好み屋は倒産したしたそうだ。妹はそれでお母さんを追い出した」
「財産は?」
「すべて投げ出して旅費も身の回りのものを売って作ったようだ。相変わらず妹の悪口は言わず兄が保証人にならなかったことを恨んでいる」
「どうするんですか?」
「ともこが心配で?」
「しばらくは私のところに泊めます。それよりお父さんは?」
「女房だからな」








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明日の夢3

 スタジオに入るとブログ仲間の男女が3人ビデオとカメラを据えている。すみれとかえでは持って着た衣装に着替える。静江がすみれをともこがかえでの服を着せる。
「私のお姉さんみたいよ」
と静江が言う。彼女とはまだ体を交えていない。これはかえでが日を決めると言っている。これはかえでがデザインして作った服だ。まだ一度も袖を通していない。いろいろポーズを取って撮影が始まる。12時に一度弁当を取ってともこが帰る。食事の間もビデオを回している。
 1時からは持ってきた黒のTバック姿に着替える。
「かえでそれではお尻の穴が丸見えよ」
「すみれのも短くしている」
 静江の顔を見ると真っ赤になっている。それでもカメラマンは屈んだ二人を後ろから取っている。
「すみれのがTバックからはみ出している」
 急にかえでがキッスをしてくる。それから唇が下に降りてきてすみれもものを含んでいる。静江のしいさな悲鳴が上がるが、カメラは冷静にシャッターが押されていく。
「綺麗だよ」
「嬉しい!」
 もう二人には周りが見えていない。素っ裸になって反り立たものをかえでの中に入れた。二人のすべてを残すと言うかえでの言葉でこうなることを予想していた。カメラマンにも伝えていた。もちろん静江には話していない。
「静江よく見て置いて。私はあなたの中で生きていくから」
「頑張ってすべてを焼き付けておきます」
 だが3時半にかえでが眩暈を起こして撮影を中止した。





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明日の夢2

 かえでが死ぬ。この言葉が私の頭の中に充満して爆発しそうだ。今日は朝4時に目が覚めてしまって、かえでの寝顔を見ながらかえでとすみれのブログを見ている。かえでがあの病院時代の交換絵物語をリメイクしている。彼女は交換絵物語の画帳を失ったと言っていたが、最近買ったデジカメであの時の絵を写しだして小さな言葉を添えている。
「見つけちゃったね?」
 私の背中にかえでの顔があった。
「完成できなかったら引き継いでね」
「いや絶対完成させろ」
「あの頃は絶望で真っ暗だった。このまま家族からも見放され病院で死んでいくのかと思っていた。それが私にも王子さまが現れてくれた」
「いや同じだよ。妹を見てきて女性への妙な嫌悪感があった。これからは一人で生きる道を考え始めていた」
「また会えるとはなんと幸せなんだろうと。もう思い残すことはないよ」
 私も心の中ではよく分かったいる。
「何時に行くの?」
「10時にスタジオを予約している。下地の化粧はここで8時から始めよう。これはブログ仲間のカメラマンに頼んで10時から5時まで押えている。疲れたらそこで切り上げる約束だよ」
 これはかえでが希望していた撮影だ。だが体力が少し回復するのを待っていたのだ。私は彼女が用意していた衣装をトランクに詰める。それからかえでがすみれの顔を作る。
「凄い!」
 助っ人で来たともこと静江が入口で声を上げる。ともこは1時まで静江は5時まで撮影の助っ人をしてくれる。とくにともこは私の女装は初めてだ。
「ともこに似ているでしょ?」
「私よりずっときれいよ」





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明日の夢1

 やはりかえでは辛そうだ。朝起きるとしがみつくように私の体に抱き付いている。痛みか小刻みに震えている。
「タクシーで送ろうか?」
 今日は今年最後の病院の検診と薬を貰いに行く日だ。入院しない代わりにこれだけ約束させた。
「いいよ。少ししたら落ち着くから」
「出てくる時間に待っているよ」
 そう言って私は銀行に出た。静江も今日はかえでが病院に行く日だと知っている。それで手際よく両替の準備をしている。玄関のシャッターが上がって父が入ってくる。
「何を持ってきた?」
 小声で静江に聞く。
「昨日も来られていて代表者の変更よ」
 かえでから私に代表者を変更している。血の気が引いていく。やはり準備しているのだ。
 10時にかえでが病院に入るので朝の両替を終えて原付で10時半に病院に到着する。受付に入るとかえでの姿はまだない。もしかえでがいなくなったら生きていけるのだろうか。だから静江をくっつけたのだが。時計が11時を回る。
 イライラしているとともこの顔が覗く。
「どうしたんだ?」
「お父さんがかえでの病院に付いて行ってくれって」
 父はまるでかえでが娘のようだ。いや恋人かもしれない。その後からかえでが少し顔色がよくなって現れる。
「来たの?」
「心配だよ」
「姉さんが来てくれた。造血剤を打ってもらったの」
 私がついかえでの手を握るのに、
「早くかえで離れをしないと」






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思い出作り12

「私は賛成よ」
 かえでに姉が飛田で働く話をした。
 それで夜におかんの店に私が連れて行くことになった。私は父にもう少しその後話を聞いていた。姉は日系ホテルの従業員をしていて夜は小遣い稼ぎで抱かれていたようだ。だが父はだけどもと言うか飛田で働かせたくないようだ。だが口には出さない。
 8時にマンションに迎えに行くと一人でいたのかともこが出てくる。
「父の世話にはなりたくない。だから働く。もしひろし君がいいなら抱かれてもいいよ」
「いや、今日はかえでの話を聞いてほしい」  
 どうもぎこちない。
 おかんの店に入るともうかえでが指定席で騒いでいる。私はともこを挟むように座る。だがかえでは座るなりひそひそ話を始める。ともこが笑っている。どうも仲間はずれにされている。一人でビールを1本空ける。かえでが何やらスマホを見せている。最近買ったようだ。
「嫌だ!」
 ともこの声に画面を見る。かえでがすみれのおっぱいを吸っている。
「全部話しちまったよ」
「ともこもすみれとしたいだって」
「それは不味いだろ?」
「何でもありなんだよ。でも姉さんは飛田では働かないことにしたわ」
「私お父さんのあの店を手伝うよ。今度すみれの時に会いたいわ。静江さんの話も聞いているから」







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思い出作り11

 あの日からすみれの踊りが有名になった。出版社からは2作目の依頼が入った。それで今書いている作品を提出することにした。これはかえでに再開した日からの物語だ。かえでは元気な時はせっせと私の小説の挿絵を倉庫に貯めこんでいる。
「私が死んでもいいように一杯貯めておくよ」
 これが口癖になっている。
 父が今日直接飛田の店に出てくると連絡が入った。年を超えるのではないかと心配していた。さすがに今の店をそれ程休んでは迷惑になる。中休みの3時に飛田の店に入る。
「父は?」
「今集金に回っています」
 女将から言われて出されたコーヒーを飲む。半時間すると平さんと父が帰ってくる。
「どうでしたか?」
「ああ、昔のところに住んでいた」
「奥さんと娘は?」
「元気だったが…」
 歯切れが悪い。炊事場からすみれに似た女性が顔を出す。
「ともこだ」
「姉さんになる?」
「2つ上だよ。困ったことに再婚してともこだけが一人暮らしをしていた。新しい父とうまくいかないのだそうだ。この飛田で働くと言っている」
「しばらくそれは待ってください」




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思い出作り10

 ジャンバーを着て原付に跨る。今日は3時に早退を届けているので食事抜きで回る。静江も今日は私とは別に休暇届を出している。銀行を出ると慌ててマンションに戻る。部屋にはもう化粧を済ませたかえでと静江が鏡の前で待っている。私はかえでに素っ裸にさせられると静江が下着を着せる。かえでは私の化粧に専念している。
 それから呼んでいたタクシーに乗る。ミナミのホテルまで20分ほどだ。入口には女装のファンが溢れている。これは出版社が宣伝も兼ねて新人を集めてパーティをする。かえではここではベテランだが私は新人だ。共著になっているから二人で挨拶をする。すみれには女装のファンが多い。これは私の処女作でかえでのお気に入りで挿絵を彼女が描いた。
 これは病院でかえでと暮らした日々を描いたものだ。あの頃描いていた画帳はすべて母の退院の日に処分された。あくまでも頭の中に残っていたものを小説にした。題名も『橙の電車』とした。
「初めて入れた時のこと覚えている?」
「覚えている。ひんやりしていた」
「私は暑い棒を入れられたみたいだったよ」
 静江がシャンパンを注いでくれる。私はひと口飲んで舞台の上で華麗な踊りを見せる。このために部屋の中でかえでから厳しい指導を受けてきた。かえでの挿絵にある踊りだ。客席から女装のファンが飛び出して来て踊る。かえでも静江も踊っている。
「私より人気があるみたい」
 かえでが胸をつんと突く。
「私女装男に見られた」
 静江がすみれの腕を抱えて言う。
「ねえ、今日はラブホテルに泊まらない?行きたいと思っている店があるの」
 私はかえでともっともっと思い出を作りたい。





 

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思い出作り9

 3人の飲み会以後妙に静江に気を使わなくなった。今まで以上に両替の手伝いをしてくれて、あれからもう3度もおかんの店に集合している。父は予定の半月過ぎても中国から戻ってきていない。母はあれから何も言ってこない。何とかお好み屋を続けているのだろう。
 今日は残業なのでおかんの店にはいかないとかえでに伝えている。9時半に銀行を出る。最近は融資の仕事はこちらに回される。その代り両替の仕事は各担当者の地域に分けられた。この時間ならまだパソコンをやっているだろうとドアを開けるともう布団に潜っている。
「寝たのか?」
と言いながらスーツを脱いで下着になる。最近は仕事中でもお気に入りの下着をつけている。いつものことで冷蔵庫から缶ビールを出してきてチーズを皿に入れる。
「こっち見て?」
 布団が捲りあがって全裸の女が抱き合っている。抱きかかえられている女を見て吃驚した。静江だ。
「私がしっかり抱いてあげたよ」
と言って小さな乳首を吸う。
「ほらすみれのちんちんが立ってきたよ。すみれは化粧しなくても肌がきれいなの。私はダメ」
「布団に入ってもいい?」
「私の言うことを聞くのよ。今日は私が彼女を抱く約束したから。まず静江の唇を吸う」
 言われた通りにかえでの代わりに彼女に重なって唇を吸う。燃えるように熱い体だ。それからかえでの手が静江の両足を拡げる。二人でオナニーをしていたのだろうか濡れている。かえではつるつるだが静江は柔らかい毛が生えている。
「ゆっくり入れのよ」
 ここも冷たい感触のかえでと違って熱い。
「どう静江気持ちがいい?」
「うん」
「そんなに擦ったらダメ。静江早く口で出してあげて」
 彼女の口の中も熱い。我慢できずに射精する。それを静江が呑み込んだ。



 





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思い出作り8

 かえでの提案で初めておかんの店に静江を誘うことになった。かえではもう何度も静江と会っているが、私は逆に気まずくて顔も合わせられないでいる。かえでは一時からすると元に戻ったくらい元気だ。だが桔梗に戻らないのは芯からよくなったと思っていないからだ。
 6時にいつも通り静江が帰り私は集金袋を詰めて7時半に銀行を出る。おかんの暖簾を潜ると指定席に姉妹のように仲良く座ってビールを飲んでいる。私を見るとおかんが隣の席を押しのけて私を座らせる。
「最近姉さん見ないね?」
「中国に旅行に行っているの」
と平然とかえでが言う。それから静江の耳元で何か囁いている。すると静江の顔が真っ赤になる。
「ひそひそ話はよくない」
「じゃあ静江がひろし君に伝えてあげて」
と言って自分の席を私と変わる。かえではそのまま私のビールを飲む。
「玉がなくて・・・竿だけ」
 静江が小さな声で耳元で言う。
「静江はねえ、高校の2年生から3年生まで付き合っていた恋人がいたんだって。最後まで行ったってよ」
「どうして別れた?」
「東京の大学に行ってそのままに。でもどうして女性に?」
「かえでに化粧をしてもらって凄く馴染んだ」
「すみれが好き。今度すみれと会いたい」
「そうじゃなくってすみれとやりたいと言うのよ」
 9時半まで妙に盛り上がった3人だった。かえでの熱い気持ちが伝わってきた。





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思い出作り7

 かえでがデパートに行って土産を買って父に渡した。父は翌日に中国に立った。親子の人形を買ったようだ。だが歩き回れるが夕方になると疲れるようで私が帰って来るまで寝ているようだ。私もようやく融資の決裁をもらって実行をした。長期融資ができると一人前と言われる。
 珍しく支店長が酒を誘ったが用事があると断った。いつものようにビールを買って部屋に戻る。
「只今!」
 部屋を見るとかえでの姿はない。もう8時になるのにどこへ出て行ったのか?するとドアが開いてかえでが買い物かごを持って戻ってきた。
「ごめんね、すき焼きが食べたくなったの」
と言うなり用意していた鍋に野菜と肉を盛り上げる。1杯だけお酒で乾杯した。
「何か嬉しいことあったのか?」
「ええ」
 くすくすと笑っているばかりだ。
「でも怒らないことを約束してください」
「怒る?そんなことはない」
「今日銀行に行って静江さんと夜に会う約束をしたのです」
「静江?」
「彼女私がブログを書いているかえでと知っていたわ。それで私はひろし君がすみれと教えた」
「そんな馬鹿な!」
「2時間も話をした。本当の話をしても彼女はひろし君を愛しているって」
「どうして?」
「私は私がいなくなった後が心配なの。そうでないとお父さんのように」
「いいのか?」
「今日は久しぶりに抱いてね」




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思い出作り6

 かえでが散歩できるようになった。それで父はここ1週間弁当を作って持ってこなくなった。
「お父さん、11月に中国に行くと言ってたわ。複雑じゃない?」
「いや、なんだかほっとした」
 これは本当の気持ちだ。父と母を見ていて何となく父が可哀想に思っていたのだ。そういう私もかえでに会っていなかったら同じだったろう。
 今日は8時におかんの店に1月半ぶりに覗く。それもすみれとして行くように約束させられた。それで7時半に戻ってきて久しぶりの化粧をする。
「少し顔が白くなったな?」
「すみれは黒くなったわ」
 そう言い合いながらおかんの店に入る。
「どうしたの?ひろし君も来ないし、かえでも」
「二人とも仕事が忙しくなったの」
 私が説明する。
「わあ。どて懐かしい!」
「ビールは控えめでねかえで?」
「すみれが私の分も飲んで?」
 常連が二人を見詰めている。おかんはその目を監視している。とくに不良の親父が一番危ない。
「雑誌社から返事が来たけど読んでみる?」
とコピーした紙を渡す。すみれの小説1号が本になるようだ。挿絵はかえでとなっている。
「おめでとう!でも私が先輩よ」
と言ってキッスをする。さすがに店の中は大騒ぎだ。









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思い出作り5

 最近は静江との昼ごはんは控えている。だが今日は強引にグリルに呼び出された。彼女は薄化粧をするようになっている。それで妙に大人っぽくなっている。営業の男性が告白して断られたという。
「最近このブログのファンになってるんです」
 彼女がコーピーしたブログを見てドキリとした。何とかえでのブログだ。最近はかえでとすみれのブログとなっている。私のブログをここに引越しさせたのだ。だからプロフィールの写真は二人の黒のTバックで抱き合っている写真をかえでが貼った。
「エロいのを見てるんだね?」
「エロくなんかないわよ。二人とも大好き!」
「どちらが好き?」
「どちらも好きだけど、私はすみれさんが大好き」
 何だかうれしい気がした。
「それとこのかえでさん私が通帳を作った人じゃないかと思っているの」
「まさか!」
 夜銀行に戻ると串カツ屋の会長の紹介の酒屋の建て替えの融資を書いている。これは本来地域的は代理の仕事がだ私に譲っている。銀行では融資は代理がほとんど扱うようだがこの代理はずっと預金畑だ。今度は繋ぎ資金ではなく長期資金だ。それに店と倉庫の他は賃貸物件になっている。
「10年じゃなくて7年で済まんか?」
 古い人は10年を嫌う。だが返済余力を見るとどうしても10年だ。支店長はそれでも判を押して帰る。私は8時には店を出る。最近はかえでは9時まで起きていれる。たくさん話をしておきたいのだ。






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思い出作り4

「親父いいか?」
 頼母子の集金に寄った時炊事場の父に声をかけた。父は最近は店のおかずも作るようになっているようだ。家を出てスーパーに寄ってから店に出る。だからその食材でかえでの食事を作っている。
「これかえでからだ」
 封筒に50万を入れている。
「これは?」
「中国に奥さんと娘がいるようだな?」
「・・・」
「これで会いに行けって。母は知っている?」
「いいや。かえでさんに初めて話した」
「どうして?」
「彼女を見ているとなんでも話したくなる」
「受け取ってくれ?かえでのしたいことは何でもさせたいんだ」
「分かっている。でももう少し元気になってからにしたい」
 今日は8時には銀行を出た。酒屋によって缶ビールを半ダース買ってマンションに戻る。
「お帰り!」
 珍しくかえでが起きている。
「お父さんに渡した?」
「ああ、だけど元気になってから行くと言ってたよ」
「だったらどうしても元気にならなくっちゃ!」
 缶ビールを開けてコップに入れる。おかんの店に行かなくなって1月にはなる。かえでが起き上がってコップを差し出す。
「今日は飲みたい気分よ」
「いいのか?」
「うんー、美味しい!」
「美味しいっていいことだな」
「そう、すみれのあの小説本になるようだよ。返事が来た」











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プロフィール

yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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