銀河鉄道3

 父の住んでいるマンションの解約届をおかんに出だして、日曜日に私とともこと静江で未明に起きて荷物を引越しした。ドアに嫌がらせの張り紙が貼られていてポストの中は請求書で一杯だ。よくも母に2百万も貸したと思う。母はお金を借りるとそのまま妹のところに行ってしまった。
 9時にはともこの部屋に集合した。すでに父は起きていてみんなの朝ごはんを作っている。かえではゆっくり歩いて30分遅れてやってくる。初めてともこの部屋に入るが4畳半のワンルームにどうして父がいるのかと思うほどだ。
「母から何とか言っていた?」
「いや連絡はない」
 さすがに父も疲れたようだ。横でご飯を食べながらともこにかえでが耳元で何か囁いている。急にともこの顔が真っ赤になる。
「何を話している?」
「お父さんに抱かれた話をしたのよ」
「かえでは・・・」
 かえでにとってセックスは会話のようなものなのだ。
「でもここにいつまでもと言うのは?」
 静江らしい意見だ。さすがに父と娘でもこの狭い部屋ではあまりにも刺激的だ。父が困った顔をしている。ともこが打ち消すように、
「私はいいのよ。この際思いきり父との生活を取り戻したい」
「静江ももうすぐ引っ越してくるわ」
「3人で暮らすのね?たまには泊まりに行ってもいい?」
「いいよ。みんなとしっかり話ししたいもの」
 父には内緒だが私はともこを抱いたことがある。かえでと暮らしてこういう感覚が麻痺している。かえでの中はひんやりしているが、ともこの中は燃えるように熱い。だがキッスするときはすみれにキッスするような不思議な感触がある。それ程血を分けた姉弟は似ているのだろうか。






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銀河鉄道2

 オープンして2日、珍しくかえでからメールが入った。今日は出来るだけ早く帰ってきてと。8時に通りで珍しく野菜ケースを抱えたおかんに会った。
「あんたのお母さん結構危ない人ね?」
「どうした?」
「不良親父の馴染みの金融屋から金を借りたらしいよ。ここはやばいよ」
 やはりと舌打ちをして頭を下げて歩く。マンションの鍵を差し込むとエプロンをした静江が顔を出した。
「オープンお祝いです」
「かえでは?」
「いつもより元気です」
 部屋の中に入ると布団が上げたれていて、炬燵の上に焼肉の鉄板が乗っている。
「開店成績が2位だったのね?」
 静江に銀行の業務日報を見せられたようだ。
 テレビにあのDVDがかかっている。だがこれは販売されているぼかしのない原版だ。焼肉が乗せられビールがグラスに注がれる。
「今日は私と静江のバトンタッチの時期だと思っている」
「かえで姉さんはそればっかり」
「静江は準備できてる?」
「母は口説けたけど父はだめ。でも決行する」
「二人で何をしているんだ?」
「4月までには静江がここに引越ししてくる。3人で暮らすのよ。でもいつまで私が持つか自信がない」
「なぜそんなにかえでは死ぬことに自信がある?」
「それは自信じゃないの。私に生命の音が消えてきているの」
と言うなり私のズボンを下げて久しぶりに口に含む。DVDを撮ってから含まれるのは初めてだ。大きくなったものを静江も加わった。どうもこれも打ち合わせ済みだったようである。でもかえでは自分の中に迎えることなく静江が全裸になって私を迎え入れた。これは儀式なのだ。










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銀河鉄道1

 3月26日がオープンの日だ。その前日に店内でささやかな打ち上げがあった。現在の数字で目標は十分達成している。口座数は1万件に対して1万2千件。預金は20億に対して40億。一番の目標融資量は30億に対して50億を達成した。総合でやはり代理が1位で予想外で私が2位となった。
 常務がグラスを持って私の横に来た。
「融資量では1位だ」
「いえ、あの常務に応援頂いたあの大口が大きかったのです」
「いや、君の先は口座数は少ないが将来性のある先が多い」
と言って乾杯して席を外す。その後代理が横の席に来た。
「ともこさんのことだが本当に姉さん?」
「ああ間違いない。父が中国で生んだ子です。出会ったのも最近です」
「すみれさんは?」
 何と伝えようか。私とは気づいていないようだ。
「すみれは日本の姉さんです」
「二人ともよく似ているな?やはり姉妹だからかな?」
「姉さんは何してる?」
「売れない小説を書いていますよ。でも手を出したらともこ姉さんは切れますよ」
「分かった」
と言うと席を替わる。そうして9時にはお開きになって代理からおかんの店に誘われた。
 おかんの店にはすでにともこが来ていてビールを飲んでいる。ともこが手を上げて私の耳元にすみれに手を出すなと言ってくれた?囁いた。顔を見たら真顔だった。
 2本目を空けた時代理がトイレに席を立った。
「彼あれからすみれのことばかり言うのよ」

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新生活12

 父から携帯があり早退して病院に駆け付けた。タクシーを降りると窓口で声をかける。それから診察室の待合に駆け込む。父が俯いて座っている。
「どうした?」
「母さんがな。どうして調べたのかかえでさんのマンションに行ったんだ。昼過ぎに急に携帯があってすぐにひろしのマンションに来てくれと」
「何しに行った?」
「金を借りに行ったようだ。それがそこにかえでさんがいたのでびっくりした。でも被っていたピンク色の毛糸の帽子で昔病院にいた女の子と知ったようだ」
 かえではやも得ずドアを空けるときはピンク色の毛糸の帽子を被る。
「それからは母さんは何も言わない。だが相当の問答があったと思う」
 しばらくすると看護婦が出てきた。それで私が中に入った。
「彼女に入院を勧めてくれませんかね?」
と医者は困った顔で出て行く。
「入院させたら化けて出る」
「分かっている。母が来て迷惑かけたな?」
「余程お金困っているのね?100万を貸してくれと」
「はやり底なしだな」
「それで私の判断ではと言っているうちに、私のことを思い出した」
「それで体はどう?」
「もう賞味期限が切れているのよ」
 薬を貰ってタクシーで父を店に送り、かえでをマンションに連れて帰った。かえでは部屋に入ると自分で布団に潜った。そのうちに鼾が聞こえてくる。それからドアを出て母に、
「金は貸さない。かえでには会わないでくれ」
と一方的に言って切った。
















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新生活11

 かえでが休日久しぶりに動物園を歩きたいと言った。3月にしては小春日和のような日だ。私は入念に化粧をしてすみれになる。昼まで二人でパソコンの作業をして次の作品の提出の打ち合わせをする。かえで&すみれの小説は人気が出て今は3社から原稿の依頼が来ている。かえでとしては初期の単独の漫画と童話が5作品、かえで&すみれになってからの小説が3作品、DVDが1作品出ている。
 珍しくかえでがおにぎりを作って私が缶ビールを下げて門をくぐる。
「寒くない?」
「ええ、暖かいわ。もうすぐ新店オープンね?」
「でも銀行員はあまり向いていないような気がする」
「なら小説家に専念したら?」
「でも一人じゃ自信がない。今も小説より挿絵の方が人気がある」
「嫉妬?」
 陽が陰るまでベンチに座っているが急に寒くなった。それでどちらからともなくおかんの店に向かう。
「すみれさん珍しいね?」
とおかんが声をかける。
「あれ!」
 かえでの声で指定席を見る。代理とともこがビールを乾杯している。さすがに代理と面と向かうのは危ない。でもかえでは代理の横に座る。そして私をひろし君の姉と紹介する。
「美人ばかりだなあ」
 代理は全く気付く様子がない。どうもともこは今日は休みを取って阿倍野で朝映画を見てきてようだ。4人で1時間飲んでともこたちはどうも今日はホテルに泊まるようだ。
「すみれも行きたい?」
「辞めとくわ」
 さすがにかえではもう疲れ切っているようだ。















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プロフィール

yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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