明日の夢6

 あの日の映像と写真が完成して送られてきた。かえではすでにブログですみれと撮影をしたと報告している。そのさわりの部分を今朝アップした。そこでモニュメントを発売すると宣言した。
「発禁になるのじゃ?」
「もちろん映像は修正をするわ。恥かしい?」
「いや」
「すでに彼らに同時に作ってもらっているのよ。私が死んでも生き続けるよ。今日は遅くなる?」
「夜に父を交えて母と話をする」
 これは困った顔で父が伝えてきたのだ。妹に子供ができたので金を作れと言うことだ。
「会社から金を出してもいいのよ」
「いや、妹に出すならどぶに捨てる」
 8時に銀行を出てマンションに行く。部屋の模様替えをしたのか依然の雰囲気がなくなっている。母の横に座っている父は別人のようだ。こういう結婚もあるのだ。
「いくら出す?」
 頭から出す話だ。
「ひろしも生活は厳しいのだよ。ここもひろしのマンションなんだ」
「だったらどこに住んでいるの?」
「友達のところに居候している」
「店は倒産するし子供ができるし大変なのよ。兄として応援する気はないの?」
 もう我慢の限界に来ている。急に立ち上がると、
「妹の応援はしない」
と部屋を飛び出した。
 戻るとかえでがビールを用意していて黙って勧めてくれる。







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明日の夢5

 私はかえでのアップされていない未公開作品を根気よくブログに載せている。かえでの4作目が発刊された。これは病院を退院して飛田の桔梗に出始めた日からの物語の漫画だ。この作品はかえでが元の作品に手を入れて書き変えた。最後にかえでが自殺することになるのだが、すみれとの再会に書き変えられた。
 今日は久しぶりにともこも入れておかんの店で飲むことになった。ともこが来てかえではしっかりと食べるようになった。それで少し元気になったように思う。
「こちらは?」
とおかんが久ぶりに顔を出したかえでに聞く。
「ひろし君の双子のお姉さん」
「あのすみれさん?そう言えば似ているわね」
「かえでは好き放題だからな」
 私は笑って二人にビールを注ぐ。
「私ね、桔梗に来年から出ようかと思っているのどう思う?」
「住まいのことなら心配しないでね?」
 かえではすでに相談を受けているらしくそれ以上は言わない。今は3人が川の字に寝ている。気を使っているのか夜は12時を過ぎて戻ってくることもある。
「もちろん言えた立場じゃないけどな」
「それより応援しないとね?」
「応援?」
「姉さんを抱くの怖い?」
「怖くない」
「なら部屋を出て行く日までに私が段取りする」












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明日の夢4

 あの日からかえでが寝込んだ。朝には必ずともこが食事の用意に来てくれる。疲れが出たようだ。だが私もかえでも覚悟の上だ。だが今日はともこが大きなトランクを持って現れた。
「姉さんどうした?」
「お母さんが来られたのです」
「中国から?」
「いえ、お父さんのお母さんが。どうも女を連れ込んだように思われて」
「困った人だ」
「しばらく姉さんを泊めてあげて?」
 かえでに言われて奇妙な3人暮らしが始まった。銀行に出て昼には父が働いている店に顔を出す。
「どうしたのですか?」
 姉と炊事場にいる父に声をかけた。
「お好み屋は倒産したしたそうだ。妹はそれでお母さんを追い出した」
「財産は?」
「すべて投げ出して旅費も身の回りのものを売って作ったようだ。相変わらず妹の悪口は言わず兄が保証人にならなかったことを恨んでいる」
「どうするんですか?」
「ともこが心配で?」
「しばらくは私のところに泊めます。それよりお父さんは?」
「女房だからな」








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明日の夢3

 スタジオに入るとブログ仲間の男女が3人ビデオとカメラを据えている。すみれとかえでは持って着た衣装に着替える。静江がすみれをともこがかえでの服を着せる。
「私のお姉さんみたいよ」
と静江が言う。彼女とはまだ体を交えていない。これはかえでが日を決めると言っている。これはかえでがデザインして作った服だ。まだ一度も袖を通していない。いろいろポーズを取って撮影が始まる。12時に一度弁当を取ってともこが帰る。食事の間もビデオを回している。
 1時からは持ってきた黒のTバック姿に着替える。
「かえでそれではお尻の穴が丸見えよ」
「すみれのも短くしている」
 静江の顔を見ると真っ赤になっている。それでもカメラマンは屈んだ二人を後ろから取っている。
「すみれのがTバックからはみ出している」
 急にかえでがキッスをしてくる。それから唇が下に降りてきてすみれもものを含んでいる。静江のしいさな悲鳴が上がるが、カメラは冷静にシャッターが押されていく。
「綺麗だよ」
「嬉しい!」
 もう二人には周りが見えていない。素っ裸になって反り立たものをかえでの中に入れた。二人のすべてを残すと言うかえでの言葉でこうなることを予想していた。カメラマンにも伝えていた。もちろん静江には話していない。
「静江よく見て置いて。私はあなたの中で生きていくから」
「頑張ってすべてを焼き付けておきます」
 だが3時半にかえでが眩暈を起こして撮影を中止した。





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明日の夢2

 かえでが死ぬ。この言葉が私の頭の中に充満して爆発しそうだ。今日は朝4時に目が覚めてしまって、かえでの寝顔を見ながらかえでとすみれのブログを見ている。かえでがあの病院時代の交換絵物語をリメイクしている。彼女は交換絵物語の画帳を失ったと言っていたが、最近買ったデジカメであの時の絵を写しだして小さな言葉を添えている。
「見つけちゃったね?」
 私の背中にかえでの顔があった。
「完成できなかったら引き継いでね」
「いや絶対完成させろ」
「あの頃は絶望で真っ暗だった。このまま家族からも見放され病院で死んでいくのかと思っていた。それが私にも王子さまが現れてくれた」
「いや同じだよ。妹を見てきて女性への妙な嫌悪感があった。これからは一人で生きる道を考え始めていた」
「また会えるとはなんと幸せなんだろうと。もう思い残すことはないよ」
 私も心の中ではよく分かったいる。
「何時に行くの?」
「10時にスタジオを予約している。下地の化粧はここで8時から始めよう。これはブログ仲間のカメラマンに頼んで10時から5時まで押えている。疲れたらそこで切り上げる約束だよ」
 これはかえでが希望していた撮影だ。だが体力が少し回復するのを待っていたのだ。私は彼女が用意していた衣装をトランクに詰める。それからかえでがすみれの顔を作る。
「凄い!」
 助っ人で来たともこと静江が入口で声を上げる。ともこは1時まで静江は5時まで撮影の助っ人をしてくれる。とくにともこは私の女装は初めてだ。
「ともこに似ているでしょ?」
「私よりずっときれいよ」





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プロフィール

yumebito86869

Author:yumebito86869
もう記憶の中で小さくなってしまているが、
小さい頃病院で隔離されていた時期があった。
その時隣部屋にかえでと言う毛糸の帽子を被った少女がいた。
童貞を失ったのもかえでだ。
何もかもう失った時、私はすみれとして彼女と再会した。
また短い時間だったが私の中で一生光り輝いている。

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